別離

別れを決意した。

ともではない。

私はともと別れる気は全くない。

別れを決意した相手、それは、元彼。

一年前に恋人としての形にピリオドを打った。

もう会うコトもないし、声を聞くコトもないと思ってた。

けど、また友達として再会してそれなりにうまくやってきてた。


そう、思ってた。この前の電話がかかってくるまで・・・。


久々の電話。間違えて発信してしまったのは私。すぐ切った（寝てると思ったから）。けど予想とは裏腹にすぐに電話がかかってきた。

「久しぶり、どした？」

「ごめん。誤発信・・・」

「ハハハ、お前らしいな」

「ごめんね」

この時、私は電話を切ろうとした。

「ちょっと話そうよ、久しぶりだし」

「え・・・いいけど」

約1時間ぐらい話した。

結果。私は失望した、元彼に。

あんなヤツが好きだった自分にも失望した。

話した内容は大したコトじゃなかった。

けど、彼が言った言葉は私の心に大きな傷を与えた。

彼が私に対して何か言った訳じゃない。

ただ彼の本当の心が少しだけ見えてしまった。

好きっていう気持ちだけで接してた時には見えなかった部分。

そういう部分を知ってしまった。

　
それだけじゃない。

私は彼と付き合ってた時から一つ気になってたコトがあった。

それは彼が時々口にする、昔の彼女の話。

彼は考えナシに昔の彼女のコトを話した。

それを聞く度、私は何とも言えないような気持ちになった。

けど、その話をしないで、とは言えなかった。

言ってしまった後の気まずい雰囲気に耐えられそうもなかったから。

彼が一番よく話したのは、私と付き合う、すぐ前に付き合ってた彼女の話だった。
「彼女は束縛する子だった、いつも一緒だった。学校でも行きも帰りもずっと一緒だった。だから俺は一人になりたかった。嫌いになった訳じゃないけど、一人の時間が欲しかった」彼はこう言った。

私は束縛するのは好きじゃない。
いつも一緒にいなきゃヤダなんてそんなコト思わない。

けど、彼はその彼女のコトを私にも当てはめた。


「付き合う事＝ずっと一緒」

これが彼の頭にある、「付き合う」の定義。

そんなの違うと言っても彼はきっと受け入れない。

そんな気がする。


今、言ってやりたい事がある。

「私の事、好きじゃなかったでしょ？
　
　私の事、正面から受け入れてた事ないでしょ？

　過去に捕らわれすぎだよ。
　
　本当はまだ昔の彼女が好きなんでしょ？」って。

　　
あの最後の電話のあと、色々考えた。

今までの事、彼との日々。

全部消そうって決めた。

恋愛の対象としてだけでなく人間的に嫌いになったから。

だから携帯のメモリーからも消した。

写真も去年の日記も全部、ゼンブ消した。

彼との想い出も消した。

もう街で会っても気付かないよ。

私の記憶から、あなたはいなくなったんだもの。

どんなにあなたが私に優しい言葉を言っても私の心にはもう響かないよ。

あなたの声は私の心には通じないから。

永遠にサヨナラ。

もうアンタの顔も思い出したくない。思い出さない。

バイバイ。